京都のリリシストYAMAO THE 12さんが4th アルバムをリリースして数ヶ月経ちました。
多くのアーティストは作品を出した直後に作品が多く聞かれて、その後落ち着いて行きます。
長くに渡って聞かれる作品は本物の名作と言えますね。
目次
YAMAO THE 12の4thアルバムとは?
YAMAOさんの4th ALBUM 「Wanderlust」について深く聞いてみました。
■作品名■
Wanderlust
(B-BOYPOST:以降B)作品チェックしました!最高の作品でした。どういったコンセプトと想いで今回の作品を作ったんですか?
-4thアルバムについて-
(YAMAO THE 12:以降Y)
作品としては前作「When I’m gone. EP」から3年、アルバム単位としては3rdアルバムの「Here I Am.」から5年ぶりとなる今作「Wanderlust」はひとつの集大成と言える作品であると思います。
偶数の4枚目にあたる今作はとても試験的な一枚で、というのも半分もの楽曲でメロディを付けて歌っています。音楽に対して「自分は楽しめているのか?」と考えた時にもっと自分の好きなように歌ってもいいのではないかと思い挑戦してみました。
(B)確かに、メロディアスな曲が多いと思いました!ラッパーは歌ったら駄目なんて決まりはないので全然良いと思います。
(Y)そしてメロディーを付けた曲が多い理由がもう1つ。自身の最愛の祖母が少しでも自分の楽曲を覚えられたらというのがあります。
(B)おばあさんですか!とても素敵な理由ですね。
(Y)そこにはHipHopだとかHipHopじゃないとか、売れ線、トレンド、流行りとかよりも遥かに大きい想いがあったと思います。
だからスキルというよりはできるだけ分かりやすい言葉と表現で書きました。
(B)はい、とてもわかりやすく一聴しただけでも曲の意味もわかりますし、POPな面もありますが、自分にとってはDOPEなHIP HOPに感じました。
ジャケットデザインも宝探しに出る海賊の気分になれそうでよいですね。
(Y)今回のジャケットは1st「A New Day Has Come」の時と同じLOAMさんに依頼いたしました。
自分でも何か一周回って帰ってきて気がしてそしてこれからまた新たに旅にでることもふまえてデザインしていただきました。
多方面からジャケットが褒めてもらえてとても嬉しく思います。
(B)ジャケット含め最高の作品ですね。
一曲づつ解説を聞きまして感想も書いてみました。
1.BeAlright
(B)
1曲目のBeAlrightです、話を聞いてみました。
(Y)3rdアルバムが結構暗い感じの作品であったので、今回は根本的にポジティブな作品にしようと考えていたので、一曲目からアッパーな曲を持ってきました。このご時世でも大丈夫だよ、と誰かに言えたらと思ってこの曲は書きました。
最後のHookのメロディのアレンジも自分で初めてやったりして完成まで少し時間がかかったの覚えてます。
(B)「現実はいつだって情け無用、だとしてもI ‘m the BEST」ここめちゃくちゃ今の時代に合っていますね、コロナは情け無用ですけど、ベストを尽くすしかないですからね。
2.Don’t Look Back
(Y)
2のDon’t Look Backですが、この楽曲は元々違うbeatで作ってたのですが土壇場でポシャってしまって(汗)
リリックやフローも結構気に入ってたので少し加筆して新たに作り替えました。
(B)ラッパーあるあるですね!長いキャリアならではですね。
(Y)結果とても良い仕上がりになってよかったです。これはHookでかなり歌っているのですがLiveでも気持ちよく歌えるようにキーも考えました。
(B)HOOKのメロウも聞きどころですけど後半に畳みかけるようなRAPが展開されるのも圧巻です。
3.Heatbreaker
(Y)
3.Heatbreakerですが、この楽曲は今までのフローとは少し変えて作りました。トラップ寄り?と言えば語弊があるかもしれませんが流行りを自分なりに取り込んだつもりです。結構コロナ禍になって心が折れることが多かったのでそれを皮肉まじりに書いた曲になってます。この曲もHookは歌えるキーのギリギリで考えてあります。
(B)なるほどです。確かに現代HIPHOPの流れはありますね。
「今に見ていろ、あなたはやれば出来る子」シンプルで心にささりました。
4.Wanderlust
(Y)
4曲目のWanderlustは全編通して歌っています。やんわり韻は踏んでいますがほぼ歌です(笑)この曲が出来た時、後輩にすら聴かせるの躊躇ったくらいです。ラップではなく歌うことに対しての迷いがあったのですがこのような表現することも自分自身であるということを気付かせてくれました。表題曲ということもあってリリックも特に気に入ってます。
(B)確かにかなりメロウで爽やかですがスムーズなRAPに聞こえますよ!
ネリーのようなフローでナチュラルです。「続くであろう道は長く、休んでいたらすぐに虹がかかる」ってリリック好きです。
5.I Wish
(Y)
5のI Wishこれはアルバムの中でも最後に完成した曲であります。
メロディを最後まで悩んでいたこともありリリックの構成などもレコーディング当日まで試行錯誤していました。他の曲が多数の人に書いてるのに対してこの曲は俺とリスナーの人、特定の誰かってことじゃないんですが一対一という目線で書きました。
(B)
こちらも泣きの一曲ですね!セリフのように語りかけてくるので思わず返事しました(笑)しかし韻踏むの巧いですね。
6.Dreamin’
(Y)
6.Dreamin’この曲はInterludeの代わりとして短めの曲になっています。また珍しくオートチューンも使っています。ここまでの曲で1日の流れを表していてちょうどここで眠りに落ちるんです。そのこともあって浮遊感のある感じで歌っているし新しい一面をみせられたかなと思います。
(B)確かに短い曲ですが、夜寝る前とかに聞くと良い夢みれそうです。
7.Calling
(Y)
7.Callingここからまた時系列的に朝になります。そして今までの曲が「自分はこうなりたかった」架空の過去に対して「自分はこうである」という自分の在り方を肯定していく未来が始まります。
リリックの通りイベント終わりの朝方から今までの過程を振り返っていきます。これはすぐリリックが書けました。いつもより思いの丈を走らせたこともあってHookは特にお気に入りです。
(B)なるほどです!確かにフックのメロディは控えめでHIP HOPならではのフックって感じですね! 「積み重ね・好きなだけ」「起爆剤・始発待ち」「今でもな・開けゴマ」 と言ったロングライムが気持ちい程に展開しますね!!
8.We Are
(Y)8.We Areですが、これはいつも支えてくれる愉快な仲間達へ向けて書きました。何かと1人でやってしまいたくなる性分なんですがここぞって時に助けてくれるのは彼等だったと思うしやっぱりここまで続けてこれたのも彼等がいてくれくれたからだと頑張れたと思います。直接言うと照れ臭いのでラッパーらしく楽曲にしました。
(B)いいですね♪ ラッパーらしくラップで表現って好きです。
語り口調でポエトリーリディング的要素もありますし、ドラマティックです。
9.Now Or Never
(Y)9.Now Or Never Pt.2
ここから続編シリーズが続きます。これはタイトル通り3rdアルバムに収録している「Now Or Never」の続編であります。今作の中で1番ラップしていると思います。韻に対してもすごくこだわって書きました。この辺で従来の俺のラップを堪能してもらえると思います。鬼滅の刃のくだりはとても気に入りです(笑)
(B)
鬼滅の刃の件はやはり一番のインパクトですね!「かまど たんじろう・朝を感じろ」こちらもポンポンと気持ち良い韻の連打ですね。リブロさん的な雰囲気もありますね。
10.それでもあの時
(Y)10の【それでもあの時】
これは3rdアルバムの「もしもその時」の続編になります。前者が音楽を辞める時が来るのだろうか?というテーマに対してこれはあの時に辞めなくて良かったということがテーマになってます。それに対しての家族への想いも綴ってあります。これはレコーディングの時に一発一本録りしてその空気感を上手くパッケージできたかなと思います。Liveでやると泣いてしまいそうです。。
(B)トラックもメロディアスで壮大な感じですね!!
映画のようなスペクタクルを語り口調を交えてて説得力あります。
11.Same Old,Same Old Pt.2
(Y)11.Same Old,Same Old Pt.2ですが、これは1stアルバムの「Same Old,Same Old」の続編というか10年近く経って今ならこのテーマにどう向き合うのかということを考えて書きました。いつも通りじゃなくなった現在こそ聴いてほしいし残しておきたいリリックだと思います。今作の楽曲の中でも一番最初に完成した曲でLiveでの破壊力も申し分ない一曲になってます。
(B)癖になるメロディとビートの展開とリリックが相まってドラマ化できるんじゃないですか?って思いました。
絶対もりあがりますね!!
12.ひとつのわ
(Y)そしてラスト12曲目の”ひとつのわ”この曲は元々10年くらい前の曲でそれを今回リメイクしました。各verseの後半8小節はその時のリリックをそのまま使用しています。当時は本当に仲間とかもいなくて一人で孤軍奮闘してて誰かと繋がりたいという気持ちが特に強かったのを覚えています。
(B)仲間がいない時期、、凄くわかります。全B-BOYが泣いた一曲といっても過言ないと思います。日本人の応援歌にも聞こえます。
今の時代(コロナ渦)にもあいますね!!
まとめ
素晴らしい作品です。
全体的にメロウな雰囲気と聞き取りやすいリリックなので(HIP HOPこ、怖い)って思って敬遠しがちな人にもすんなり聞けると思います。
女性ボーカルやフューチャリングなしで全編聞かすのって相当難しいと思いますが、コース料理のように考えられたARTだと感じました。
ぜひ聞いてみてください。